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安全工学

安全工学

 フェールセーフの考え方

機械は壊れるもの、人は誤るもの、を前提にして考える。機械の壊れ方はその兆しがあるものが多い。それに比べて電気系統の不具合は突然発生する。機械の機能、性能は制御系に依存している部分が多いので電気系統が機能しなくなると大変困る。安全装置も制御系との関わりがあるので電気の不具合は事故に直結する。
 そこで機械が壊れないように、故障しないようにという方法を最初に検討され採用されてきた。すなわち信頼性を向上させることに努力を傾注してきた。信頼性を高くするには、良質で厳選された部品を採用する方法と、系統を多重化して1つの系統に不具合が生じたら他の系統に切り替える冗長化(多重化)が採用する方法がある。ジェット旅客機、原子力発電所、一部の化学プラントなどでは良質な部品を使用しかつ多重化が行われている。規模が大きくてかつ安全状態である停止に移行するに時間を要する分野である。事故がもし発生すると被害の規模は大きく、また設備を停止させるには時間を要する共通点がある。
 それに比較すると、一般の工場設備、工作機械、食品機械、印刷機械などは、規模が小さく安全状態である停止に移行することが容易である。原子力発電所の事故と不具合が生じたら停止させられる生産機械とは発想が全く違う。即ち、機械は壊れるものであるから、故障しても人が怪我をしない、人命を失わないように機械を作ろうという考えがあり、これをフェールセーフという。機械が壊れた場合、本来の機能(たとえば生産する、運搬するなど)が発揮出来なくても災害を起こさないことを優先している。これに対して故障になりそうな部分をあらかじめ2重化、あるいは3重化しておき故障した場合に系統を切り替えて機械の本来の機能を保つ考えがある。これをフォールトトレランスという。故障を許容する考えである。ジェット旅客機に搭載してあるコンピュータが3重化されているのがその好例である。
 信頼性を高めることは、機械の一部が故障しても機械の機能を失わせないことが目標であり、安全性を高めることは、機械の一部が故障した場合に機械の機能を失っても人に危害を与えない事の違いがある。
なお、国際規格ではフェールセーフの用語を使用しない方向である。それはこの機械はフェールセーフであるというと法律的な責任問題が発生する国があるので国際規格ではフェールセーフの用語の使用を控えている。